同じ芸術大学の卒業生である両氏が「月」をテーマにして、
ブロンズと絵画という異色な組み合わせで今展を開催しました。
「月」というテーマは特別なものではありませんが
夫婦である二人の素顔に近づいた題材であったと思います。
学生時代に絵を描いていたこともあるという田中氏、
男女の深い情感を細部まで表現したブロンズレリーフが
意外にも男性に好評でした。
やはり男性の方がロマンチストだということでしょうか。
寺岡氏は好んで色を持たない花を描きますが、
月のあかりに照らされて花びらが開く姿をのびのびと描くことにより
観る者を鮮やかな花の世界に誘います。
特に画面構成に応じて縦長のサイズを加えたことで
花のしなやかで強い生命力が伝わってきました。
夫婦二人展という形は、作品の関連性よりも男女の関係性を
自ら問う意味合いと探る局面があり、それは自然でむしろ健全であると
私は思います。作品は作家の人生そのものだから。
異なる資質を持つ二人ですが、これからも共同で美術に携わり
活動していってほしいと思います。
Gallery noivoi