奥行きを平面で再現する時に用いられる歴史的な絵画技術や遠近法が、改めて「斜め」という捉え方としてコンセプチュアルに試みられ、立体と平面の作品それぞれの空間の重層性が、その空間存在の神秘性や非空間性を多様な形で表現された総合的、かつ、サイト・スペシフィックな展示であった。存在としての「空間」、歴史的な技法を参照しつつ再考された「空間認識」、そして、新たなコンセプチュアルなアプローチでの「空間と非空間の再現」が視覚、空間、認識、そして、哲学的に再考させられ、形而上学的な非空間に引き込まれるとても印象的な内容であった。 展示されたり描かれたりしたものを凝視しながら、私はいったい何を見ているのだろうかと、そこにはない非空間についての新たな神話や光景を想像させられた。
アーティスト/アート・コーディネーター
鈴木啓二朗
アーティスト/アート・コーディネーター
鈴木啓二朗