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998年独デュッセルドルフ美術アカデミーのマイスターシューラーを取得し、
現在は愛知県立芸術大学で彫刻専攻の教鞭をとる竹内孝和の最新作。
ギャラリー内全体を白く覆い、『様々な痛みと向き合う』社会や自己を
強くて切ない白で表現した情景彫刻作品を展示しました。
力強い見事な作品でした。竹内さんに感謝します。
gallery noivoi
gallery noivoi
生きていると色々な状況に出くわす。喜びや楽しさで心が躍り高揚する事もあれば、
それとは真逆に辛くて、穴に入って出てきたくなくなる様なことにも遭遇する。
私が生まれて半世紀が過ぎ、深く印象に残っていることは後者の方である。
悲しみに打ち沈む、八方ふさがりで先が見えない、失望感、喪失感といった体験が
自分の中に棘として刺さり“痛み”として残っている。津波による被害によって起きた福島原発の事故。このことは人や自然に大きな爪痕を
残し、人類の“痛み”として歴史に残る事故と言ってもいいだろう。
しかし、そのような事を悲観的にばかり捉えてはいられない。よくよく考えればどこかに
その原因がある。事は起こってしまえば後戻りはできず、そのことを受け止めるしかない。
時間の経過の中でそれらの事を振り返れば、悲痛な出来事も生きる道を示しているようにも
思える。“痛み”は人間が人間らしく健康で調和を保持していく上で必然的に表れたことでは
ないだろうか。
竹内孝和
竹内孝和