- カタブイ
- 高橋承一 個展
- 2026.10.30 - 11.8
- Close : 11.2(mon)
- Open : 12:00 - 18:00(最終日17:00まで)
「カタブイ」
「一部分にだけ降るにわか雨」のことを沖縄の言葉で「カタブイ」と言います。カタ(片・一部分)に、ブイ(降る)が合わさり「片方にだけ降る雨」という意味です。強い日差しで地面や海面が温められ大気の上昇で小さな積乱雲が生まれる。その雲の真下だけ短時間に激しい雨となり、霧が晴れるように消える。そして元の穏やかさを取り戻す。足元には雨痕だけが残される。大自然のダイナミズムを目の当たりに感じさせるのが「カタブイ」です。
私の制作の過程も、そのようでありたいと願っています。
ある動機や思いから筆致や密度が凝縮し緊張が周囲へと広がっていく。やがて緩み、痕跡が残る。その現象そのものを、モチーフや制作過程から見出し、作画を支える感覚として意識していきたいと考えています。
質感が語りかけてくる時があります。物質を形作っているバランスが崩れ、断面や歪が露出していく様に惹かれるからです。変質や同化を繰り返し物質が変容していく様にも魅力を感じ、次の形が生まれようとする瞬間を探っています。
普通、絵は絵具を塗り重ね作り込むことで完成へ向かいます。しかし私にとっては、塗る、張り付ける、割る、削る、露出させる、それらは同じ価値を持つ行為です。段ボールが露出する、絵具が割れる、削ることで色面が崩れ別の層が顔を出す、その変化は、私が画面に試みた結果であると同時に、素材そのものが応答した痕跡でもあります。そしてそれは単なる技法ではなく私が世界を観る時の感覚そのものでないかと考えるのです。
現実の風景が制作の出発点です。しかし、それを説明し始めた瞬間に作品は力を失ってしまうように感じます。そのため抽象と具象のあいだを往還しながら、離れた断片が呼応し、像が立ち上がろうとする瞬間を画面の中に留めておきたいと思っています。
私が描こうとしているのは、完成した風景ではなく、物質が時間を受け止め、その変化の途中に現れる気配ではないかとわかり始めたところです。画面の中で、その一瞬の「カタブイ」を探し続けています。
高橋 承一
個展
グループ展






