私は制作において、いくつかの類型イメージをもつモチーフを、レイヤー的に重ね合わせたり、並列させたりといった過程を踏みます。それはモチーフがもつイメージを平均化するような、単純化させていくような作業とも言えます。
そうして、目の前に見えていたはずのイメージが次第にただの色や形のパターンへと変化していく中に、ふと妙な生々しさが顔を出すのを待っています。
今回は、看板や捨てられた雑誌をモチーフに制作、展示を行います。
2つのモチーフに共通してあげられることは、野外という場所で見かけるということです。例えばどこかの民家の壁面であったり、ガードレール下のアスファルトの上であったり。
それらのモチーフがある場所を思い浮かべるとき、ありそうだと感じる場所や、かつてあった場所を思い出す中で現れてきます。しかし思い浮かんだ場所は、どこか共通しているようで共有できない曖昧さを含んでいます。
それは、どこでもあると同時にどこにもない場所なのではないでしょうか。
舩戸彩子
●過去の企画展
舩戸彩子展
どこでも、どこにも、
2019.7.23-8.4
作家経歴
主な展覧会
展示作品